微かな金属同士の擦れる音。しゅるり、と音を立てて赤いベルトが引き抜かれ、次いでゆっくりとボタンがくつろげられる。焦らすように、音が聞こえるように丁寧にジッパーが下げられたかと思えば。ぱさり。軽い音を立て、あっけなくその白い脚を覆う布は床へ落とされた。  ぷつり、ぷつり、と白いシャツに隠された肌が、徐々に露わになっていく。手に触れた柔らかそうな胸が震え、肩紐から谷間へ伸びる紐が、その柔らかさを強調させた。僅かに背を向ける形で、行われるそれ。はらり、と肩から落ちる黒。けれども、黒いレースに覆われた赤は、そのまま。  近くのソファには、この部屋を訪れた際に身につけていた赤いマフラーと、グレーのコートが無造作に放り投げられている。それがシワになることなど気にも留めない様子で、男がニヤニヤとその様を観察していた。

三寒四温、とはよく言ったもので、暖かい日が来たかと思えば急に冷え込む日が続いたりする。今日はそんな中でも冷え込む日で、部屋の暖房をつけ暖かくしていた。  一度身を沈めたら起き上がる気をなくす魔のクッションに身を沈めた男は、掌の中の携帯電話で録画をしながら、目の前のストリップショーに喉を鳴らす。 「まっさか、お前がンなことやる側に回るなんてなァ、トーマ」 「やらせてンのはオメエだろ、ジョー」 「なんだよ。オマエだってノリノリじゃねェか」 「美女だろ?」 「言ってろ」  くつくつと肩を震わせながら、女は男を見やる。その目を真っ直ぐに射抜きながら、白いシャツに隠された二本ずつ配された黒い紐を下ろしていく。少し屈めば、艶やかな肌が露わになり、胸元に深い影を作る。  そのまま、それを両足から引き抜いて、そのまま目の前の男に投げつけた。 「うわ」  顔面でそれを受け止めた男は、その布とも言えない塊をひらひらと揺らし、ブレた手元に不満を漏らす。 「夢だろ?」  心底愉快そうに女が問えば、男もまた、似たような表情を浮かべた。 「お互い様ってやつだろ? ヘンタイ」

桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿 ーー必要な手入れをせず、余計なことをする様