「あ、起きた?」 そんな声と共に、目を覚ます。昨夜は深夜までいたせいか、どうにも眠気が覚めない。つけっぱなしのテレビからは、クリスマスを祝う様子が流れている。プレゼントを手に満面の笑みを浮かべる姿。ケーキを頬張る顔。ありふれた光景。幸せのかたち。 何事もなく、恙なく、夜を越えて、朝を迎える。何気ない日常。その尊さ。 「ん、おはよ」 ごそごそと布団から起き上がり、のそのそと洗面台に向かう。歯を見上げ顔を泡だらけにして髭を剃り、ついでに顔を洗う。そうしてざばざばと水で流して適当にタオルで拭う。 「きのうの、騒ぎになってないみたい」 「そっか」 あの後、彼がどうなったのかはわからない。どこへ行ったのかも、何をしているのかも。けれど、あの言葉は嘘ではないことは確かだ。迷いの晴れたような、真っ直ぐな目をして。 「それで、きょうはどうする?」 「そりゃもちろん。塩の女王に謁見に」 今日はクリスマス。この国では、誰も彼もが家族と共にこの良き日を祝う。どこもかしこも休みだけれど、町を歩いて、たくさん話をすればいい。 この国での、特別な時間は、まだあるのだから。