うっすらと目を開ける。 そこは薄暗い実験室のような場所だ。自分は何かの台にのせられており、周りには見たこと のないような機器類が並んでいる。 そして貴方は白衣を身にまとった人間たちに囲まれていた。彼らは一斉にこちらに目を向ける。その視線は冷たく、そして気味が悪いと貴方は感じる。 その集団の中央、ひときわ冷たい目線を向ける男は、貴方と目が合うと 「実験は成功だ」 そう言い放った。聞き耳をどうぞ。 あら、まあ、じゃあちょっと聞き取れなかったね。そうね、じゃあ男が何かをつぶやいた気がするが、内容まではあなたは聞き取れませんでした。 で男が貴方に手をのばす。その手は冷たく、どこか無機質だ。そう思いながら、貴方は目を閉じた。 そして、あなたは再び目を覚ます。 どこまでも白く続く広い空間に貴方はいた。 白い椅子に腰掛けており、目の前には同じように椅子に腰掛けている男がいる。 この光景を見るのは何度目になるだろうか。男が貴方に話しかけてくる。 「やあ、こんにちは。また会ったね。なんだか顔が強張っているようだけど怖い夢でも見たのかな」 えっとこの男とは初対面。何回も見てるんだっけ? あのそうですね。何回も見てる。あなたがアンドロイドとして覚醒してからスリープモードに入るたびに夢を見ています。 その時々、謎の空間へと飛ばされる。これですね。これが何回か会話をしてるって感じですかね? じゃあなんどか会ってるのでこう 「また、あなたですか」と。 ちょっと呆れ気味に。 声をかけますね。声をかけてどうしようかな。これを夢だと認識しているはずなので。はずですよね確か。 まあ夢と認識していても大丈夫です。 そうですね。じゃ、夢は脳で見るものなので、 「頭の中に何度も入られるのは。いい気がしない」的なことを言います。 「仕方がないだろう。私はウイルスみたいなものだからね」 えっとメンテナンスのウイルスチェックは問題がないんですよね。 そうですね。ウイルススティックを多分してると思うのですが、それでも問題はないというか。 ウイルスのようなものなのに検出されないのに、ちょっと嫌そうな顔をします。 ははは。 「まあ、それはともかくだ。早速今日は話をするとしよう。何、単なる雑談さ。最近の調子はどうかな?たしか君は今日から本格的に活動を開始するんだったね」 えっとどうしようかな。 「そうそうです」と返します。 言いながらなんでそんなこと知ってるんだよ、ってあると思う。 うん。 それにはね、まあ肩を含めてね。 「私は何度も知ってるんだよ。君たちのことなら何でもね」 と言って話を続けますね。 「科学が発展した今の社会では、君たちVOIDは警察の捜査まで任されるようになった。目まぐるしい進化だよ。数十年前まではアンドロイドが生活の地盤に関わるなど、考えられなかったからね」 「以前テレビで面白い話題が取り上げられていてね。日本の都心の人々の外出率は、昔に比 べて10%も低下したらしい。リモートワークが主流の会社が増えたことや、インターネット が以前よりも更に普及されたこと、若者の間では仮想空間が流行していること。理由はいく らでも考えられるが、やはり1番の理由はVOIDの存在だろうね」 「アンドロイドは買い物、配達、はたまた幼稚園児の迎えまで任されている。ハガキ一枚ポ ストに入れるのだってアンドロイドの仕事だ。まあ今は手紙も珍しくなってしまったけれ ど」 「費用削減の為、アルバイトを雇わずにアンドロイドを使う店も増えてきている。そのテレ ビの映像ではアンドロイドがアンドロイドから商品を受け取っていた」 「それを見た学者が言ったんだよ。いつかこの世界は、人間を必要としなくなるのではない か、とね」 「君はどう思う?この世界に必要なのは、人間か。それとも、君たちか」 急に難しいこと言ってきた。 えっとそう。 そう。 ですね。 えー。世界に必要なのが人間かVOIDかっていう話だよね。 「両方、両方必要だと考えます。実際、私をメンテナンスしてくれるのは人間だし。 結局VOIDを作ってるのも人間なわけだから、人間がいなくなると覚えともいなくなる。 と考えています」 って返すかな、返します。 「なるほどね、確かに、どちらかが欠けてしまえばバランスが崩れてしまうし、余計に不便になるだろうね。やっぱり共存が一番のかな? ああ、少し話しすぎてしまったかな?そろそろお目覚めの時間のようだよ」 どこからかあなたを呼ぶ声が聞こえる。あなたはゆっくりと大丈夫? その前に「共存、もしくはボイドがいなくボイドの方が不要」っていうのをつけた足したいです。 おおなるほど。 そうだから 「ボイドは人間がいないと。 成り立たないけど、人間はボイドがいなくとも今までやっていけてたんだから元に戻るだけ、という考えを持っています」 なるほどじゃあ、それを聞くとね。ちょっと目をぱっちくりさせて笑うんだけど。 「なるほど、それも面白い考えだね」 というふうにちょっとまあ肯定というか? うん、なるほどねっていう感じで返すかな。 面白いって言ってもらえてちょっと嬉しいかもしれない。 そうね、 「なるほど、そういう考えをするのは面白いね」 ですね。そしてあなたはゆっくりと目を閉じます。視界が闇に包まれる中、目の前の男がこのようにつぶやいたのが聞こえた。 「諸君は「選択」を迫られているのだ。科学技術による「勝利の可能性」か、それを放棄す ることによる「確実な敗北」かを」 「かの有名なSF小説家、アイザックアシモフの言葉さ」 「私は見守っているよ。君たちが、どんな選択をするのかをね」
「…………BR800、聞こえる?……おかしいな、まさか機体に何か……黒田さんに怒ら れる……」 目を開けるとそこは警視庁の見慣れた一室だった。目の前には貴方のメンテナンス係である青木玲斗が、少し焦った様子で貴方を見ている。 「あ、目覚ました…えっと、おはよう。調子はどう?」 「……そうですね。ええ。 またええ謎の空間。 白い空間。 でええ、謎の男と世間話をしました」と返します。 「ああ、また例のあれか? まあ、大きく影響がないならいいんだけど、さ。でも。それで何か不便というか、影響があるんだったら言ってね」 うんと影響はいつうんと 「メンテナンスで影響が出ていないってことは大丈夫なんだろうと思っている」ことを伝えます。もう情報漏洩とかしないなら、それでいいです。 うん。 何かね情報が出てるわけでもないしなって感じ。 そうそう「自分の中でなんか起こってんならまあいいか? 」って思ってます 「今日、何の日かちゃんと記録してあるよね?君のパートナーとの顔合わせ、なんだけど… 」 「今その彼がこっちに向かってるって。黒田さんも来てるし…俺たちも そろそろ移動しよう」 「はい」 青木がドアの前に立ちモニターに目を合わせればドアが開く。どうやら網膜認証システムが 導入されているようだ。あなた達はそのまま廊下に出る。 「なんか最近、署内のセキュリティも厳しくなってる気がするんだよね…まあ、君には関係 ない話かもしれないけど…」 といって青木がひと呼吸を置いた後にですね。 「あ、きょ、今日はその……天気いいね…」 貴方に気を遣ってか彼はそんな話をしてくるが、貴方がネットワークから情報を得れば今日の天気予報は曇りのち雨であることが分かる。 これはPLの発言なんですけど、かわいいなあ青木さん、可愛いな。 青木はかわいいんですよ。 じゃこう。 なんだろうな。多分青木さんは春よりも曇りや雨が好きなんだろうなと思い。洗濯物を乾きづらくなる。 でしょうが、熱い日差しが強いよりは過ごしやすい日になるでしょうと返します。まあそんな感じのね、雨と曇りのいいところを話します。 確かに。 じゃあ。 「あ…そっか。そうだね。今日そういえば雨、だったね」 「あのさ……いらない心配、かも、しれないけど、でも、大丈夫だから。君のパートナー、新人…らしいけど、でも、黒田さんの推薦らしいし……まだこの形態が導入されて2年くらいしか経ってないから、アンドロイドに否定的な人も多いけど………いつか認められる日も、くるだろうし。 うん、それに、警察のVOIDって、適当に人に配られてるわけじゃなくて……その人の今までの 経歴、趣味嗜好、あとは心理テストなんかの結果も反映して、人工知能がユーザー適合率 ……相性を測ってくれるんだけど、ほら」 と言ってね。そう言って青木が自身の端末に触れれば、空中に小さく映像が映し出された。そこには十朱晴という名前と貴方のIDナンバーが並べられており、その下には『適合率 100%』と表示されておりますね。 100%。 100%なんですよ。 PL的には逆に怪しいなってます。めったに百とゼロはない。 本当ね、でもたぶんこう。 こ。 うキャラク。 の方はなんだろうな? 「データがそういうならそうなんだろうな」と。 思って、心配してくれる青木に対してええとどうしようかな? えっと? そうだね、 「データと青木さんのことを信頼しているので、緊張はしているけれど、不安には思っていない」ことを伝えます。 「なるほど、そうか、それは良かった。 このユーザー適合率の100%なんてさ、見たことなかったから俺、驚いちゃって。でも、人工知能は嘘つかないし。 君たちはきっといいパートナーになれるよ。 なんてね。 あ、じゃあとうんありがとう」 って言いながら、その話をしながらね、あの歩いていきましたら、待ち合わせの一室にたどり着きます。まだ、他の人間は来てないみたいですね。 はい。 「じゃあ、登録の前に一旦シャットダウンするね。何か聞きたいこととか確認事項とかあるかな?」 えっと確認事項。 認事項何かあるかな?ちょっとあるかな? 「ありません」 「えっと、おやすみ、BR800」 そう言って、あなたは再び目を閉じる。次に目を開けるときに、あなたの前にはHO1である十朱晴いるのだろう。彼はどんな人物なのだろうか?そう思考を巡らせていれば、やがてあなたの意識はシャットダウンした。